Archive für November 2008

追記

私がこの話を引き受けた最大の理由は、Ramanが演出をするからです。彼はイランのなかでも少数民族のアッシリア人、アッシリア語(アラム語)とペルシア語を話し、幼い時に家族ごとイランから馬に乗って亡命し、ご両親は現在アメリカに暮らしています。彼は18歳になる娘の父親であるけれど、現在は彼氏と娘と3人でフランクフルトに暮らし、素晴らしい料理人で、アジアのそれにも通ずる「もてなしの心」を持っています。私は全くがさつな人間ですが、Ramanには兄弟のような心地よさを感じています。彼は「もう二度と」という言葉のメランコリーを深い所で知っていて、それを抱えつつも現実的に生きている人であり、その生き方の色に自分と共鳴するものをとても強く感じ、彼の取り組もうとしていることがジャパニーズ・メロドラマとは全く別次元である事は十分理解できたので、この作品を是非一緒にやってみたいと思いました。「家族」という大きなテーマに静かに向きあえる貴重な時間にもなりそうです。

台所とか電気とか日本語とか

現在フランクフルトにおります。

吉本ばななさんの「キッチン」をモチーフにした作品の10日間のプレ・リハーサル中。Ramanという、もうドイツに20年住む料理の達人のイラン人と、Heikeというドイツ人のダブル演出です。出演者は3人、あとはミュージシャンと映像作家のミニマルなプロダクションです。

プレ・リハって何?かと言いますと、大抵オフ・シーンの新作のリハーサルは2ヶ月毎日6-8時間行われるのですが、作品を組み立てる以前に出演者皆でトレーニングやインプロビゼーションを沢山やり、素材を集め作品の方向性を探る、という時間です。まだ時間的にも気持ち的にも余裕があり、また大概が初顔合わせのメンバーがお互いを知る、楽しく貴重な時間です。どのプロダクションにもあるわけではなく、贅沢ともいえます。

さて、日本では大変有名な「キッチン」。私の役所は、もとお父さんだった「お母さん」です。あの、殺されてしまう。10代の頃に読んだ切りだった本をまた読みかえしました。あれ、こんな風景だったっけ、と本から私の中に広がる世界が、当時からだいぶ変わっていることに驚きます。本を読んでいるときは自分の中にある台所だったり、木だったり、白い床だったり、潤んだ瞳だったりをそこに投影してイメージを組み立てるから、体験の蓄積とともにその絵が変わるのは当たり前なんですけどね。

今回の作品はストーリーを追う訳では無いので、原作とは全く別ものになりますが、ひとつの視点を持ってイメージを広げていくのは楽しいです。ドイツ語と日本語(英語も?)、お父さんとお母さん、親と子供、昔と今、夢と現実、彼女と彼と私、都市と部屋、と色んな狭間を渡り歩くことになりそうなこの作品に取り組んでいると、日常の凄く些細なことに敏感に反応するようになって来ました。いま滞在している部屋の壁の深い赤や、少し高めの洗面台、家主が5時間煮込んだ柔らかいお肉や、デザートの盛られたお皿の水玉、妙に平らなグラス、ランプにはねた白いペンキ、さりげなくパートナーに触れる手、なんだかんだ。電気を付けた瞬間に、意識が電気の道をコンセントから壁を伝い配電盤を通って家の外まで這い出ていったり。

本について話していても、私は原作を日本語で読んでいて、周りはドイツ語、原作からそれぞれが思い描いている台所の匂いも、ビルの高さも、マニキュアを塗られた爪の形も、風の冷たさも、静けさの深さもそれぞれ違うはず。 何より皆にとっては登場人物はドイツ語で会話している。いや、Ramanの中ではペルシア語になってるかもしれない。それぞれが自分の世界への謎かけを続けることで、観ている側はそこに自身のストーリーを投影し自分に語らせる事が出来るのかもしれない、というスタンスは私の12月公演「HEREing Loss」にも通ずるものがあります。

まだよくわからないけど、話していても、踊っていても、歌っていても、その時に「私」がいる風景をとても細かく観察しようと思う。見ながら、見られていることを感じつつ、受け入れつつ。

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SHOP WITHOUT WORK - ワークショップ by ヘレナ・ヴァルトマン

11月になりました!
Feierabend!で一緒に仕事をしたHelena Waldmannが日本でワークショップをします。
Feierabend!のリハーサルがスタートしたのは去年の今頃。ふと自分が書いて来た事を読み返してみて、不思議な気持ちになりました。
ヘレナ自身、「今までで一番キツかった作品」と言うFeierabend!、だけどあのクリエイション期間と公演から得たものは何物にも代え難いです。
これからで申し込みが間に合うのかわかりませんが、興味のある方は、是非ヘレナに出会って下さい!
詳細はイメージをクリック>>

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